前回までは、アメリカのネットショップ市場のトレンドや、業種・商材別にどんなネットショップがあるのかについてご紹介しました。
後編の本記事では、実際にどうやってネットショップを開業すれば良いのか?について解説します。
モール型ネットショップ
モール型は、すでに用意されているマーケットプレイスに、出展させてもらう、という形になります。
アメリカでメジャーなモール型ネットショップは、AmazonやeBay、Etsyが挙げられます。
モール型のメリット
①集客力がある
すでにAmazonやEtsyで買い物をしている人の目に触れやすく、googleなどの検索でも上位に表示されやすくなること(SEO)が、初めて出品する人のショップにも集客されやすい理由です。
②モール型は売れるまでが早い
前述のように、モール型のネットショップには集客力があるため、相当な競合が多い商品でなければ売れるまでにあまり時間がかかりません。
モール自身が提供しているギフトカードやクーポン、セール期間など、モール自体のプロモーションの効果を受けることができるので、初心者でも売れるまでが早い傾向にあります。
③発送も任せられる場合がある
例えばAmazon FBAという倉庫の機能を使えば、注文が入ったら、Amazonが梱包・発送してくれます。
発送がされると在庫も更新されるので、出品者は、FBA倉庫に在庫がなくなりそうになったらまた倉庫へ納品するのみで、ほとんど労力がかかりません。
モール型のデメリット
①ブランド強化が難しい
デザインや細かい商品登録のルールもモール本体に従って運営する必要があるため、独自性の高いサイトを作ることができません。
自社サイトであれば、ブログやコラムを書いたり、店舗の情報を発信したりと、自由なマーケティングがしやすいですが、モールではそういった施策が難しくなります。
②手数料がかかる
モール型の場合、モール運営者への手数料が嵩んでくるというデメリットもあります。
多くの場合、月額の出店テナント費用の他に、売上手数料や広告費など、さまざまな費用が差し引かれます。
原価率が高い商品の場合は、ゆくゆくこの手数料に悩まされてしまう事業者の方も多い印象です。
③顧客情報が取れない
モール型の場合、お客様の情報はモールが所有するため、基本的にテナント側の事業者が顧客リストにアクセスすることができません。
従って、顧客情報を利用したマーケティング施策を行いたい場合には、モール型は向いていないといえます。
自社サイト型ネットショップ
自社サイト型は、独自ドメイン(自分だけのURL)を取得して運営するネットショップのことです。
自分で作る、ということから、ハードルが高そうに感じられるかもしれませんが、今では、初心者でも安価に始めることができるようになっています。
自社サイト型のネットショップの作り方
フルスクラッチ
フルスクラッチとは、デザイン・機能について、一切の制限なくゼロから作り込むスタイルです。
莫大な時間とコストがかかりますが、自社に必要な要件を満たすシステムを構築できます。
パッケージ
ECサイト構築のベースとなるソフトウェアを、販売会社から購入する方法です。
ある程度作られたものを購入するため、フルスクラッチほどコストはかかりません。
オープンソース
WordPressなどがこちらに当たり、インターネット上の無料のソフトウェアを利用する方法です。
サイト構築だけでなく、バグへの対処やセキュリティ対策など、あらゆる面でメンテナンスが必要になりますが、自社に技術力がある場合は安価にネットショップを作ることができます。
ASP
アプリケーションサービスプロバイダーを略してASPと呼びます。
アプリケーション=ネットショップを、インターネットを通して稼働環境を提供してくれます。
ネットショップでは、「購入する」「お金が動く」「会員登録をする」といったシ複雑なステムが関与する部分は、このプロバイダー側が管理をしており、デザインは事業者側でカスタマイズできる、というものです。
自社サイト型のメリット
①利益率が高い
自社サイト型の場合、売上に対するロイヤルティや手数料がかかりません。
ASPやオープンソースのプラットフォームを利用すれば、初期費用を抑えることができ、開業後はシステム保守費用のみで運営が可能です。
②ブランディング・SEO対策がしやすい
自社サイトではデザインを自由にカスタマイズすることができます。
また、デザインだけでなく、機能の面でも、お客様に使いやすいサイトを作ることができます。
トップページだけでなく、商品ページや会員登録ページなど、あらゆるページでブランドに沿ったデザインにすることで、モールでは認知されにくいブランドをより効果的に見せることができ、お客様にアピールできます。
③リピート施策などマーケティング活動が行いやすい
先ほど、モール型では顧客情報にアクセスできないと記載しましたが、自社サイトの場合、お客様情報は事業者の所有になります。
この情報を利用して、メルマガ、SMSマーケティングを利用したリピート施策や、集客施策を行うことができます。
サイトの分析も細かく行うことができるので、顧客単価アップや購入率アップといった施策も、データをもとに行なっていくことでリピート客や優良顧客を増やして利益を生み続ける仕組みづくりができます。
自社サイト型のデメリット
①集客・売上までに時間がかかる
自社サイト型のネットショップは、「砂漠にポツンと店ができるイメージ」と、お客様にもご説明をしています。
自分で集客しなければ、誰もその存在に気づいてもらえません。
立ち上げた直後から、どうしたらお客様に見てもらえるのか、購入してもらえるのか、ということを考え、広告やSNSを活用して集客に取り組んでいくことで、売上につながっていきます。
②運営に主体性が求められる
利益率が高く、リピート客を作りやすい、というネットショップのメリットがありますが、これらにたどり着くには、ネットショップの運営を主体的コツコツと行なうことが重要です。
長期的なビジョンを持って取り組むことが重要です。
モール型か自社サイト型どちらを選べば良いのか?
商材で考える
大衆品・消耗品ならAmazon
最大のショッピングモールAmazonでお買い物をするお客様は、「欲しいジャンルは決まっているけど具体的にどれにするかは決まっていない」傾向があります。
大衆商品や消耗品、または価格の差別化に自信のある商材であれば、モールに出店することで、商品の露出を増やし、購入につながりやすくなるでしょう。
Amazonのテナント料は月々$39で、商品のカテゴリーにより手数料がかかります。
こちらの記事では、多くのセラーが15%の手数料を払っていると書かれています。
*テナント料が無料のプランもありますが、こちらは小口販売者向けで、機能の制限もあります。
中古品やビンテージ品はeBay
中古品や様々なジャンルのビンテージ品を扱う場合には、eBayがおすすめです。
eBayには”Wired stuff”というカテゴリもあるくらい、おもしろい商材が多く取り揃えられています。
eBayもAmazonと同様に様々な手数料がかかりますが、eBay Fees Calculator USでざっくりとしたイメージが掴めると思います。
手作り・クラフト系はEtsy
アクセサリーやギフト雑貨などは、Estyで販売するのがおすすめです。
Etsyは2005年のかいし以来、拡大し続けており、81.9億人のバイヤーを持つプラットフォームです。
業者がまとめて購入するwholesaleの役割も大きいので、大型のバイヤーをつかむことができると売上が伸びやすい傾向にあります。
販売手数料は6.5%
ブランドを確立したいなら自社ネットショップ
一方で、ブランド品や専門品、ニッチな商材は、お客様もそれを知っているのでモールで探す必要はありません。
自社でネットショップを立ち上げてブランディングを行い、リピーターや優良顧客を増やしていく施策がおすすめです。
自社サイト型ネットショップならShopifyがおすすめ
自社サイト型のネットショップが作れる様々なプラットフォームがありますが、副業やスタートアップ企業からメガ企業までのニーズを網羅できるShopifyは、非常におすすめのプラットフォームです。
拡張性が高い、ということ以外にも、受注管理や配送における様々なサービスと連携ができるのが、使いやすさの秘密だと筆者は思っています。
もちろん、POSを使っている飲食店だとSquare spaceとの相性が良かったり、小規模運営ならwixなど、それぞれにメリットがありますが、長期的なメリットやShopify自体のサポートの手厚さを考えると、Shopifyが使いやすいと感じます。
同時運営も選択肢のひとつ
モール型も自社サイト型も、ネットショップを一つ立ち上げて運営するには、それだけの労力がかかるものです。
しかし、それぞれに良い面がありますので、まずはモール型で商品の認知を測り、自社サイトに移行する戦略や、集客力を相互に強化させるためにどちらもを運営するというのも選択肢の一つです。
さて、アメリカでネットショップ、始めてみたくなりましたか?
アメリカプロモマガジンmotto TEXASでは、ネットショップの集客、配送、SNS広告など、もっと深掘りした情報発信を行なっていく予定です。
メルマガにて、最新記事のお知らせを致しますので、ぜひ登録いただけたら幸いです。